72の法則(3) 72の法則はどれぐらい成り立っているか

くどいようだが、復習。資産運用で元本が二倍になるまでの年数をN、年利をrとおくと、N \times r \simeq 72となる。この等式は、「だいたい」成り立つだけであって、rとNのとる値によっては、N \times rが72から大きくずれることもある。では、r(あるいはN)がどんな値をとるときに、72の法則は成り立たなくなるのだろか。


次の図は、rN \times rとの関係をグラフ化したもの。

0 \leq r \leq 0.1あたりを拡大してみよう。

年利が8%前後あたりで、N \times rはほぼ72になっていることがわかる。

ところで、年利2%前後のところでは、ほぼ70になっている。現実的に資産運用を考えると、年利2%前後の金融商品と年利8%前後の金融商品では、前者の方が圧倒的に選択肢として多い。とすると、「72の法則」じゃなくて、「70の法則」を利用したほうがいいのかもしれない。まあ、72も70も、概算する上ではほとんど変わらないから、「年利1桁の場合は、72の法則がおおむね成り立つ」と覚えるので問題はないだろう。

一方、年利が二桁になり、さらに増えていくと、72の法則は成り立たなくなっていくことがわかる。とはいえ、年利二桁の資産運用をするような御方には、「元本が二倍になるまでの年数」なんてわざわざ計算する必要はないだろう。したがって、72の法則が成り立たなくてもNo Problem。

参考

「70の法則」に思い当たったところで、ネット検索してみたら、そういうことに言及している人は結構いるようだ。まあ、誰でも思いつくことだし…。この記事の存在意義(笑)。

この「72の法則」はあくまで概算に過ぎない。一番正確に適用できるのは、年率8%くらい。概算として使えるのはその上下の±2%くらいまでだ。

「72の法則」という表現が広まっているのは、72が各種の数で割りやすく、暗算しやすいということで好まれているからだ。

インフレで物価が2倍になるのはいつ? 72の法則とは?:日経ビジネスオンライン

また、5%くらいまでなら「70の法則」とした方が正確な値に近いです。「72」としたのは「2でも3でも4でも割り切れる数」という利便性を考えたのだと思います。

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