電通大生の3割は留年する―読売新聞「大学の実力」調査にみる電気通信大学

読売新聞が2008年から行って反響を呼んでいる「大学の実力 教育力向上への取り組み」調査。毎年、7月頃に結果が発表され、自分も興味深く読んでいる。

今回は、第1回、第2回調査の回答データから、私の在籍する電気通信大学(電通大)のものを一部取り出して、いろいろ考えてみることにする。もし受験生などで参考にできるところがあれば、幸いだ。

回答データ

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
学生数 / 定員数 4232 / 3480 4293 / 3480
専任教員数 / 法定数*1 324 / 56 323 / 101
標準修業年限(4年間)卒業率 70.83(04年度入学者) 67(05年度入学者)
退学率(4年間) 3.98(04年度入学者) 4(05年度入学者)
退学率(1年間) 0.76(07年度入学者) 1(08年度入学者)
留年者率*2 25.2(04年度入学者) 29(05年度入学者)
就職率 (設問なし) 29(05年度入学者)
進学率 (設問なし) 66(05年度入学者)
入学者数 (設問なし) 936、うち一般入試841、公募制推薦69(09年度入学者)
部活参加率*3 (設問なし) 47
インターンシップ参加率*4 (設問なし) 11

所感

各項目についてちょっとコメントしてみる。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
学生数 / 定員数 4232 / 3480 4293 / 3480

最近は多くの私大で定員割れを起こしているが、第1回調査データによると、ほとんどの国立大学では、定員の1.1〜1.2倍ほどの学生がいるようだ。電通大も例に漏れず、定員の1.2倍ほどの学生が入学している。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
標準修業年限(4年間)卒業率 70.83(04年度入学者) 67(05年度入学者)

2008年の4年制大学の平均卒業率は84%。これをやや下回る結果の解釈はいろいろと考えられそうだ。下記の留年者率も参照すると、出るのにやや厳しい、と言えるか。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
退学率(4年間) 3.98(04年度入学者) 4(05年度入学者)
退学率(1年間) 0.76(07年度入学者) 1(08年度入学者)

04年度4年制大学入学者の平均退学率(4年間)は8.2%、07年度入学者の平均退学率(1年間)は2.5%。電通大は留年者が多いとよく言われるが、退学者はそうでもないようだ。自大学に満足しているのだろうか。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
留年者率 25.2(04年度入学者) 29(05年度入学者)

留年者率が2〜3割というのは、在学生の自分の実感に結構当てはまる。2009年調査でちょっと増えてるのが気になるが…。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
就職率 (設問なし) 29(05年度入学者)
進学率 (設問なし) 66(05年度入学者)

数字からも分かるように、電通大では、大学院に進学する割合が多い。そのほとんどが電通大の電気通信学研究科に進学し、修士で卒業している*5。外部への進学が推奨される現在、この数値もだんだん下がっていくかもしれない。

非進学者の就職率は 29 / (100 - 66) * 100 で85%、それなりに高いか。就職も進学もしない人の割合は5%。

調査内容 \ 調査年 2008年調査 2009年調査
部活参加率 (設問なし) 47
インターンシップ参加率 (設問なし) 11

いろんなサークルが存在し、大学祭もにぎわうが、それでも部活参加率が50%を超えていないというのは意外だったかも。インターンシップ参加率11%は低い感じがする。


いろいろと述べてきたが、電通大に興味がある人でも、このデータだけを見たのでは、あまり面白いことはない。他の大学の回答データと見比べたり、もっと長い期間の調査結果を並べて推移を見たり、オープンキャンパスで先生方にこのデータを見せて話をしてみたり、といったことによって、よりいろんなことが分かるようになるんだと思う。そのための叩き台としては、役に立つだろう。

他の大学に通っている人も、自分の実感とデータとをつき合わせてみると、いろいろと考察できることがあるんじゃないかと思う。

データ引用元

  • 第1回調査:「読売新聞」2008年7月20、21日付朝刊
  • 第2回調査:「読売新聞」2009年7月8、9日付朝刊

*1:「法定数」は、大学設置基準に定められた必要専任教員数。

*2:「100 - 退学率(4年間) - 標準修業年限卒業率」。

*3:ただし分子は延べ参加学生数。よって参加率は100%を超えることもある。

*4:ただし分子は延べ参加学生数。よって参加率は100%を超えることもある。

*5:電通大のウェブサイトの進路情報も参照。微妙に数字が違うのはなんなんだ。